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装具は矢状面だけじゃない!脳卒中AFO『足部内外転(垂直軸回旋)』を変えると歩きがここまで変わる

キーワード:脳卒中・短下肢装具(AFO)・足部内外転(垂直軸回旋)

はじめに

脳卒中後の歩行障害に対する短下肢装具(AFO)は歩行機能の改善のために有効であることはガイドラインでも推奨されています。

AFOの種類は多岐に渡り、患者に合わせた装具が処方されますが、生活期におけるAFOは痙縮や変形、静的アライメント、動的アライメント、患者の嗜好など考慮すべきことが多くあります。

今回はAFOのアライメント設定について解説します。本記事は理学療法士の方を対象に執筆しています。すべての方に当てはまる内容ではないため、あくまで参考としてご覧ください。

 

足継手で意識すべき3つの面

AFOで重要な足継手の設定ですが、3つの面を考慮しながら軸を設定する必要があります1)。

前額面:内果下端もしくは外果中央を通り、床面に平行なライン(正中基準線に直交)(図①-1)

矢状面:外果中央(図①-2)

水平面:足部中心線(第2趾中央)に直交して外果中央を通るライン(図①-3)

基本的な軸は前述したとおりですが、脳卒中のAFOでは痙縮、変形なども考慮しなければなりません。

 

症例紹介

ここで、水平軸の変更により歩容の改善を認めた症例を紹介します。

X-11年に左被殻出血を発症した右痙性麻痺で、X-8年に当院でボツリヌス治療を開始しました。運動麻痺はBrunnstrom Stageで上肢Ⅲ、手指Ⅲ、下肢Ⅲ、感覚は右上下肢表在深部ともに中等度低下、右足関節背屈角度は膝伸展位で-15度、膝屈曲位で-5度、筋緊張はModified Ashworth Scaleで右足関節背屈2でした。歩行はT字杖と足継手付きプラスチックAFO(タマラック足継手)で自立しており、10m歩行時間は15.4秒(歩数20歩)でした。

20回目のボツリヌス治療の際に両側支柱付きAFO(油圧制動足継手)を再製作したところ、再製作したAFOでは荷重応答期(LR)で足関節が過度に内反していました。

内反の原因を理学療法士と義肢装具士、医師で協議した結果、足部が水平軸に対して内転していることが原因(図②-1)と考え、水平軸に対して足部を外転方向に修正(図②-2)しました。また、足底面の内側を下げ、外側を上げることで内反を矯正させました。

図③にAFO修正前後の歩容の変化を示します。

このように、その結果、LRの足関節内反は軽減しており、本人の歩きやすさの自覚も改善しました。紹介した症例は臨床症例の一部を紹介したもので、全ての症例が同様な結果を示すわけではありませんので、個々の症例に合わせて装具を調整してください。

AFOの軸は矢状面や前額面はよく見ると思いますが、足関節の内外反など前額面上の運動異常の際には水平軸の評価も忘れずに行うと良いと思います。

 

 

まとめ

・AFO作製では、前額面・矢状面・水平面の3面から軸(アライメント)を評価・設定することが重要である

・前額面上の運動異常(例:荷重応答期の内反)では、水平軸(水平面)の評価・調整が歩容改善につながる場合がある

 

参考文献

  • 義肢装具のチェックポイント第9版、医学書院、p210

 

文責 東京都立荏原病院リハビリテーション科

理学療法士 髙橋 忠志