嘘のようで本当の話「装具は意外と自己負担金が少ない!」~高額療養費について~

〈キーワード〉 高額療養費,装具,負担額
※この記事は一般の方を対象に作成しています。すべての方に当てはまるわけではありませんので,ご了承ください。
「本当は本人用装具があった方が…でも金額が…」
と言った声を、リハビリスタッフやご家族様からよく耳にします。
本人用装具の必要性を理解していても、長下肢装具の値段が16万円〜30万円と聞くと誰でも驚いてしまいますよね。
お恥ずかしい話、私もこの金額を初めて聞いた時は作製することに気が引けました。
しかし、制度を活用することで「長下肢装具が意外と安くなる」仕組みがあるのです。
今回のコラムでは長下肢装具は高い!!と、一度でも感じた方へ少しでもサポートになればと思います。
病院で作製する装具は治療用装具と呼ばれ,医療保険の対象となる機器です。一次的に10割の金額をお支払いいただきますが,手続きをすればご自身の保険負担額に応じて還付金が受け取れます。
たとえば、24万円の長下肢装具であれば3割負担なら72,000円、1割負担なら24,000円。自己負担額はグッと下がりますね。
本当ですか…。
「いやいや、それでも高いよ」と感じる方には、ぜひ知ってほしい制度があります。
それは、「高額療養費制度」です。
※これはあくまで目安であり、実際の金額は保険証や役所での確認が必要です。
装具も高額療養費の対象になる?
はい、なります。ただし条件があります。
装具が高額療養費制度の対象となるには…
自己負担額が21,000円以上であることが必要です。
つまり、装具代のうち保険適用後の自己負担が21,000円未満であれば対象外です。
例:
- 装具代24万円 × 1割負担 = 24,000円 → 対象となる
- 装具代20万円 × 1割負担 = 20,000円 → 対象外
• 下肢装具20万円+上肢装具3万円× 1割負担 = 23,000円 → 対象となる
入院中に作製した装具は特におトク?
はい。入院中は1か月の医療費が数十万〜100万円を超えることもあるため、装具代と合算すればほとんどのケースで制度の対象になります。
そのため、装具は入院中に作製された方が、金銭的な負担が軽く済むケースが多いです。
まとめ
本記事では,以下の内容についてお話ししました。
1.高額療養費制度について
2.装具における高額療養費の適応について
装具は高価ですが、「高額療養費制度」を活用すれば、実際の支払額は大きく抑えることができます。
そして、この制度は私たちの税金で成り立っています。
必要な支援はしっかり受けながらも、制度を正しく、無駄なく使うことが大切です。
「高いから…」と諦めず、一度制度の内容を確認してみてください。
入院中であれば病院所属の相談員さんや,保険者の該当窓口(役所など)で相談されてみると良いかもしれません。制度を活用して,しっかりとリハビリに取り組んでいただければと思います。
文責:戸田中央リハビリテーション病院 吉田寛也