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装具の作製制度について学ぼう! ~治療用装具と更生用装具について~

〈キーワード〉装具作製制度、治療用装具、更生用装具

※本記事は、理学療法士の方を対象に記載したものです。

全ての方に当てはまる内容ではありませんので参考程度にお読みください。

装具の作製制度は、大きく分けて2種類あります。1つが治療用装具としての作製、もう一つが更生用装具としての作製です。

では、この2種類の装具作製制度の使い分けはどうすれば良いのでしょうか?

本コラムでは、治療用装具と更生用装具の特徴について理解し、使い分けの一助になれば幸いです。

 

治療用装具、更生用装具とは?

『治療用装具』:傷病の治療目的で、医師が治療のため必要と認め、処方される装具です。そのため、利用できる制度は通常の医療費と同様に各種健康保険証となります。

費用は、患者様が一時的に費用の全額を負担します。その後、各種医療保険の窓口にて申請手続きをとることで、その保険の給付割合に従って、差額分を療養費として払い戻される療養費払いとなります。

『更生用装具』:以前に治療用装具を作製したことがあり、傷病の治癒後に生活に必要と判断され処方される装具です。身体障害者手帳を用いた障害者総合支援法、労災補償にて作製します。いずれも事前申請が必要です。装具納品までの手続きが多く、治療用装具と比べると装具完成までに時間を要します。

費用は、原則1割負担となります(世帯所得によって負担額の上限が異なります)。

 

 

2つの作製制度、どう使い分ければ良い?

ポイントは、治療目的かどうかです。

医師が治療のために必要と判断された場合、『治療用装具』となります。そのため、傷病により入院されている状況や身体機能の変化があり、装具を作製や再作製する必要がある場合、治療用装具が選択されます。

反対に、傷病は落ち着いており、現在使用している装具で問題がない場合、生活のために必要な装具ということになり、更生用装具での再作製が望ましいです。

 

こんな時、使用される制度はどっち?

例えば、脳卒中を発症し片麻痺を呈した患者様が病院でプラスチック製短下肢装具を作製し、退院されました。その後、歩く機会やリハビリの頻度が減ってしまったことで、廃用を招いたり、麻痺側の足部内反の痙縮が増悪したりして、プラスチック製短下肢装具では歩きにくくなってしまいました。今度は、金属支柱付き短下肢装具を作製したいです。

こんな時、最適な装具の再作製制度はどちらでしょうか?

答えは、『治療用装具』での作製です。

理由は、病院退院時よりも身体機能の悪化があると判断され、医師が治療として必要と判断される可能性が高いからです。

このような患者様を在宅にて遭遇した場合、装具外来への受診を検討して頂けると良いと思います。その際、当ホームページの埼玉県脳卒中下肢装具対応施設一覧を活用し、装具外来を探す参考にしてみてください。

 

まとめ

・装具の作製方法は、『治療用装具』と『更生用装具』の2種類がある。

・治療用と更生用では、目的・手続き・費用が異なる。

・使い分けのポイントは、『治療目的かどうか』

 

(参考文献)

橋本 将志.脳卒中患者における下肢装具リハビリテーション.NPO法人FSA,90-95.202

 

文責:花はたリハビリテーション病院 理学療法士 上野竜治