長下肢装具の各パーツの役割とは?構成要素をわかりやすく解説
〈キーワード〉 長下肢装具、膝継手、足継手、足部
※本記事は、理学療法士向けの記事となっております。すべての方に当てはまる訳ではありませんので、参考程度にご使用ください。
長下肢装具(KAFO:Knee-Ankle-Foot Orthosis)は、膝関節・足関節・足部を包括的に支持・制御する装具であり、重度の麻痺や筋力低下、関節不安定性を有する症例において、立位・歩行の獲得および安全性向上を目的として使用されます。
KAFOは両側金属支柱付のものが多く、下腿部については金属支柱コンベンショナル型とプラスチック製のハイブリッド型などがあります1)。各構成パーツの役割を理解し、病態・歩行能力・生活環境に応じて適切に選択・調整することが重要です。本記事では、臨床で頻繁に用いられるKAFOの主要構成パーツについて、解説します。
半月とカフ1,2)
半月とカフは、大腿近位部・大腿遠位部・下腿部に設けられます。半月はその名称のとおり半月状の形状をしており、支柱に取り付けられて下肢を覆うパーツです。固定性を高めるとともに、支柱の位置関係を決定する役割を担います。カフは、半月と体表との間に配置される帯状の部品です。素材には、皮革やフェルト材などが用いられます。
支柱1,2)
支柱は装具の骨格となる部分であり、支持・矯正・変形予防の役割を担う構造を有しています。また、継手などの部品や付属品を取り付けるための部分であります。材質としては、主にアルミニウム合金であるジュラルミンが用いられ、プラスチック支柱にはポリプロピレンなどが使用されます。近年では、炭素繊維強化プラスチックやマグネシウム合金なども用いられています。
基本的には、大腿近位部では外側支柱を内側支柱より長く設定し、内側支柱は会陰部より2~3cm下方の長さとします。
支柱が長すぎると近接関節の動きに影響を及ぼし、逆に短すぎると生体との間で運動解離が生じた際に縁部へ力が集中し、皮膚損傷などのトラブルの原因となります。支柱と皮膚との間隙は、原則として5~10mm程度とされています。
膝当て(膝蓋腱パット)1,2)
膝関節の支持を目的として使用されることが多いです。3点固定の要となるのが膝当てであり、膝折れを防止する効果を持つとともに、大きな力が加わる部分です。
例えば、膝関節に屈曲拘縮がある場合には、膝当てを装着して前方から圧迫することで、膝関節を伸展位へ矯正することが可能です。
また、膝蓋腱パッドは、KAFO装着下での起立練習時に膝蓋骨への圧迫を避ける目的で使用されます。
膝当て(左)と膝蓋腱パット(右)
膝継手1,2)
膝関節軸に位置し、関節運動を制御・補助することで、運動の代償を行います。脳卒中患者に対しては、立位・歩行動作時の膝折れ防止を目的として、ロック機構を有するものが主に用いられます。
他にも、円背や膝関節屈曲拘縮がある場合には、ダイヤルロック膝継手を選択することがあります。また、膝関節伸展の弱化がある場合には、伸展補助機構としてSPEX(spring extension)膝継手を選択するなど、症例に応じてさまざまな種類が用いられます。
膝継手の詳細は別記事でより詳しく解説しています。さらに詳しく知りたい方は、こちらの記事をご参照ください。
足継手1,2)
足継手の位置は、脛骨内果の後下方端部および腓骨外果の突出中央部に一致させ、軸は足部の長軸に対して直角、かつ床と平行になるように設定します。
代表的なものとしては、シングルクレンザック足継手、ダブルクレンザック足継手、ゲイトソリューション足継手などがあります。
足板とあぶみ(鐙)1,2)
足板は足底部を支持する板であり、連結部分をあぶみと言います。あぶみは金属板をコの字に曲げて加工し、足部を接合します。通常は足継手と連結されています。足部(足継手・足部パーツ)の詳細は別記事でより詳しく解説しています。さらに詳しく知りたい方は、こちらの記事をご参照ください。
例えば、内反尖足がある場合などは長い足板をして矯正を行います。
シングルクレンザック足継手用のあぶみ(上)とダブルクレンザック足継手用のあぶみ(下)
足部1,2)
足部は、大きく分けて3つの種類があります。足部覆い型、整形靴型、靴インサート型があり、生活環境や使用場面に応じて選択されます。
例えば、足部覆い型は主に屋内使用を目的とし、整形靴型は屋外使用を目的に用いられます。靴インサート型は、屋内外の両方で使用することを目的としています。
ストラップ1,2)
スラップには、TストラップとYストラップがあり、支柱に巻き付けて足部を矯正するために用いられます。
Tストラップは「外側ストラップ」として使用され、外側から水平方向に内側支柱へ向かって牽引するためT字型を形成し、内反足の矯正に用いられます。
一方、Yストラップは「内側ストラップ」として使用され、内果下方から斜め前方に向かって牽引することでY字型を形成し、外反足の矯正に用いられます。
まとめ
本記事では、「長下肢装具の各パーツの役割とは?構成要素をわかりやすく解説」について解説しました。KAFOは複数のパーツが相互に機能することで効果を発揮する装具であり、それぞれの構成要素を理解することが、適切な評価・介入につながります。
理学療法士は、歩行分析やADL評価を通じて問題点を明確にし、義肢装具士と連携しながら、最適な装具の選定や調整を行うことが重要です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
参考文献
1)木村公宣.長下肢装具.佐伯覚(編).義肢装具学.pp45-48,医学書院,2018
2)内藤貴司.下肢装具の構成部品とそのチェックアウト.高田治実(監修).義肢・装具学 第1版.pp253-263,羊土社,2020
文責: 理学療法士 小野塚雄一






