全額先払い!?装具を作製するのにはお金がかかるの?

<キーワード>医療保険,還付,装具
※本記事に掲載されている内容は,該当されない方もいるため参考程度にご覧ください。
脳卒中を発症された方に対して,足の補助をするために装具という補助具を使用することがあります。リハビリなど,練習の時には備品のものを使用することが多いですが,ご自身の足の形にあったものではありません。医師の診察のもと,オーダーメイドでの作製を提案されることがあります。
オーダーメイドでの作製ですから,当然,作製費用が発生します。今回は,装具の価格や利用できる保険制度について簡単にご紹介していきたいと思います。
本記事では,以下の内容について解説します。
・装具の価格
・医療保険による装具作製費用の還付(償還払い)
装具を作製する際の費用や,保険制度についての知識を深めていただき,装具作製についての不安を解消する助けになれば幸いです。
本記事内では,オーダーメイドによる装具の価格を中心に記載します。既製品の装具に関しては,他の関連記事をご参照ください。
装具の価格は,厚生労働省から通達される「治療用装具の療養費支給基準」によって定められています。特徴として,パーツごとに価格が定められている点が挙げられます。装具によって価格が変わってくるというよりは,使用したパーツによって価格が変わってくるということです。
また,パーツごとの価格が定められているので,全国(北海道でも,沖縄でも)どこで装具を作製しても,価格は一律ということになります。
装具ごとに,少し詳しく解説します。
長下肢装具
太ももの付け根まで覆われる長い装具です。使用される部品も多いので,価格も高額になりやすいです。また,高性能なパーツも選択できるので,その分価格が高くなります。概ね12~30万円程度かかることが多いです。
両側金属支柱付き短下肢装具
金属で作製された,膝下から覆うタイプの装具です。長下肢装具の膝より上部分のパーツを取り外して,同様の形態にすることが可能です。
膝より上の部分のパーツが少なくなる分,価格は抑えられます。8~12万円程度かかることが多いです。
プラスチック短下肢装具(シューホーンブレース)
プラスチック製の短下肢装具で,一般的に最も使用頻度の高い装具の一つです。
ある程度,高性能なパーツを付与することも可能ですが,多くは掲載した写真のような形態になることが多いです。プラスチックの1枚板から,熱をかけて足の形状に合わせて作製していきます。特別なパーツを使用しない限り,5万円程度で作製することができることが多いです。
医療保険による装具作製費用の還付(償還払い)
脳卒中にかかり,装具を最初に作製する場合,多くの状況で医療保険が適応となります(労災保険や,生活保護の場合は条件が異なる場合があります)。先に記載した装具の価格は,装具の本体にかかる価格です。装具の費用は,1度全額をお支払いいただいた後,申請することで自己負担分以外が還付される制度になっています。
還付の申請先は,加入している保険により異なります。申請先は,「保険者」になります。以下に,申請先について簡単に記載します。
社会保険に加入している場合
例えば,会社に雇用されてお仕事をされている方は,会社で社会保険に加入されていると思います。この場合,「保険者」は会社となりますので,会社の該当部署に還付手続きの申請をしてください。
国民健康保険に加入している場合
自営業の方や,すでに定年されてお仕事を引退されている方に関しては,「保険者」が住民票のある自治体になります。このため,還付の申請は市区町村の役場の該当窓口となります。
還付の手続きの際には,①装具費用の領収書,②医師から発行される診断書,③還付を受ける口座番号,④印鑑,が必要となります。①~④を持参のうえ,該当窓口で還付手続きの申請書類を作成して提出してください。
よく,「還付の手続きは早急にしないといけないのか?」というご質問を受けます。厳密には申請期限は設けられていないようですが,早めの申請をお勧めします。
還付の手続きの際には,①装具費用の領収書,②医師から発行される診断書,③還付を受ける口座番号,④印鑑,が必要となります。①~④を持参のうえ,該当窓口で還付手続きの申請書類を作成して提出してください。
よく,「還付の手続きは早急にしないといけないのか?」というご質問を受けます。厳密には申請期限は設けられていないようですが,早めの申請をお勧めします。
手続きについてご不明な点があれば,装具を作製した病院,または義肢装具製作会社にお問い合わせいただくのが良いと思います。もし相談が難しそう,ということであれば,当サイト内に掲載されている《装具対応施設一覧》をご参照ください。あなたのお住まいの近くに,きっと相談できる窓口があるはずです。
まとめ
本記事では,以下のことについてご紹介しました。
・装具の価格
・医療保険による装具作製費用の還付(償還払い)
装具は厚生労働省からパーツごとに価格が設定されていることをご紹介しました。
全国どこで装具を作製しても,パーツの価格は一律です。
医療保険を利用して,装具作製費用の還付を受けることができます。
還付を受けるためには,①領収書,②診断書,③口座番号,④印鑑,をお持ちになって,該当窓口にご相談ください。
文責:さいたま市民医療センター 佐藤博文