1. HOME
  2. コラム
  3. 下肢装具で皮膚が赤くなる?そのままにしないで! ~医療機器関連褥瘡を防ぐためにできること~

コラム

Column

下肢装具で皮膚が赤くなる?そのままにしないで! ~医療機器関連褥瘡を防ぐためにできること~

〈キーワード〉下肢装具、皮膚トラブル、医療機器関連褥瘡

※このコラムは、一般の装具使用者向けの内容です。

すべての方に当てはまる内容ではありません。参考程度にお読みください。

「装具をつけて歩けるようになったのはいいけど、皮膚が赤くなって痛い」
「なんとなく違和感があるけど、外してしまっていいのかわからない」

このような悩みを持つ方は少なくありません。下肢装具は歩行や立位を支える重要な道具ですが、長時間の装着により皮膚にトラブルが起こることがあります。特に赤みや水ぶくれ、傷などができる状態は「医療機器関連褥瘡」として早めの対処が必要です。

このコラムでは、なぜ装具で皮膚トラブルが起きるのか、そしてどうすれば防げるのかをわかりやすくご紹介します。

 

 

装具と皮膚トラブルの関係とは?

下肢装具は足にぴったりとフィットさせて使いますが、その「密着」が皮膚トラブルの原因になることもあります。装具が当たる部分に圧力やこすれが起きると、以下のような症状が出ることがあります:

– 赤み
– 表面の皮がむける
– 水ぶくれ
– 傷

これらは、装具やチューブなどの医療器具が触れることで起こる「医療機器関連褥瘡」と呼ばれています。とくに感覚が鈍っている方や高齢の方は、気づかないうちに悪化してしまうことがあります。

 

どうして起きるの?主な原因

サイズや使い方が合っていない

身体の状態が変わってきているのに、以前と同じ装具を使い続けていると、当たる部分が偏ってしまうことがあります。

長くつけたままにしている

装具は便利ですが、ずっとつけっぱなしにすると血の流れが悪くなって、皮膚が傷みやすくなります。

汗やムレ

装具の中がムレたり汗がたまったりすると、皮膚がふやけて傷つきやすくなります。

 

防ぐためにできること

毎日の皮膚チェック

装具をはずしたときに、皮膚に赤みや傷がないかを見ることが大切です。
特に、外くるぶし・かかと・すねの骨が出ている部分などは、傷ができやすいので注意しましょう。
赤くなっているところがあれば、その日は装具の使用を一時中止し、専門のスタッフに相談しましょう。

定期的な点検と相談

体に合わせて装具も変わっていきます。数ヶ月に一度は、作ってもらった場所や病院でチェックを受けましょう。

やわらかい素材の靴下やパッドを使う

摩擦や圧迫を減らすために、肌にやさしい靴下やパッドを装具の中に使うと安心です。

 

困ったときは?よくある質問

皮膚が赤くなっていたら、もう装具は使わないほうがいいですか?

その日は装具の使用を一時中止し、悪化しないうちに病院や装具の専門家に相談してください。

どこに相談すればいいの?

元々装具を作製した病院のスタッフや,必要に応じて当委員会が作成した装具マップをご覧いただき,近隣で相談できる施設を把握しておくことも大切です。

 

まとめ

下肢装具は、生活を支える大事な道具ですが、皮膚トラブルが起こることもあります。
「しかたない」と思わず、「いつもと違う」と感じたらすぐに相談することが大切です。

不安なことがあれば、一人で抱え込まずに、ぜひ周囲の医療スタッフに相談してみてください。あなたの足元を支える装具が、ずっと快適なパートナーであるように。

 

文責:花はたリハビリテーション病院 理学療法士 廣島拓也