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「装具って必要?」脳卒中ガイドラインでわかる下肢装具の役割と効果

〈キーワード〉 ガイドライン、長下肢装具、短下肢装具

 

※本記事は、参考情報です。脳卒中後の不安や疑問をお持ちの方・ご家族に向けてお届けします。状態により最適な対応は異なりますので、詳しくは医師、理学療法士、義肢装具士へご相談ください。

 

「装具に頼ると回復が遅れるのでは?」

これは脳卒中後の方からよく聞かれる不安の一つです。しかし実際には、適切な装具使用が“歩く機会”を増やし、回復を支える可能性があります。

こうした状況で役立つのが、専門家が研究結果をもとにまとめた「脳卒中治療ガイドライン」です。ガイドラインは、医療者だけでなく、患者さんやご家族が治療やリハビリテーションを理解するための“道しるべ”でもあります。

 

本コラムでは、脳卒中治療ガイドラインをもとに装具の役割や効果を解説します。

 

早く、積極的に!「装具を用いた早期歩行練習」が勧められている!

十分なリスク管理のもとに、早期座位・立位、装具を用いた早期歩行練習、摂食・嚥下練習、セルフケア練習などを含んだ積極的なリハビリテーションを、発症後できるだけ早期から行うことが勧められます。

 

このように発症早期から装具を用いた歩行練習をすることが勧められています。

長く安静にして動かないでいることで、筋肉は使われず徐々に弱っていきます。そのため可能な限り早期からのリハビリテーションを開始します。その際に下肢装具が大活躍します。

 

不可能を可能に!「長下肢装具」を使用することがガイドラインに!

膝関節伸展筋力(膝を伸ばす筋力)または股関節周囲筋力が十分でない片麻痺患者に対し、歩行練習目的で長下肢装具(KAFO:Knee Ankle-foot Ortosis)を使用します。

 

長下肢装具による効果

●麻痺側(麻痺した足)の筋の活動が促進される

●歩行時の麻痺側下肢(麻痺した足)の曲げる・伸ばす動きが促される

●歩行時の姿勢が改善する

●歩行時の足の筋肉の使い方が、より自然な動きに近づく

●立位時のバランス機能が改善する

●感覚が低下している方にも活用できる

 

 

図1 製作したオーダーメイドの長下肢装具

 

図2 長下肢装具を使用した介助歩行の様子

 

脳卒中後の運動障害に対しては、課題に特化した訓練の量や頻度を増やすことが勧められます。また歩行機能を改善するために、頻回な歩行訓練を行うことが勧められており、歩行速度や歩行耐久性の改善が期待されます。

長下肢装具を使用すれば、立位保持や歩行が困難な重度片麻痺に対して、立位・歩行練習を早期から積極的に行えます。

また姿勢改善にも有効で片麻痺により歩行の姿勢が十分でない場合にも効果があります。

 

歩き方や速さ、安定性のために満足度も高い!生活のための「短下肢装具」

脳卒中片麻痺で内反尖足(足首が内側に捻れ、つま先が下を向いてしまう状態)がある患者に、歩行改善のために短下肢装具(AFO:Ankle-foot Ortosis)を用いることが勧められています。

 

短下肢装具使用による効果

●立位バランスの左右対称性が得られる

●1分間あたりの歩数・歩行速度が改善する

●短下肢装具処方があると回復期リハビリテーション病院入院中の日常生活動作(ADL)が向上する

●歩行困難な脳卒中患者が使用することで歩行能力が改善し、満足度(歩きやすい、安全で安心感がある、自信がつくなど)が高くなる

 

様々な短下肢装具の効果

金属支柱付き短下肢装具の効果

●麻痺側(麻痺した足)による立位時間が延長する

●動的バランスが改善する

●麻痺側(麻痺した足)の振り出しおよび安定性が改善する

図3 金属支柱継手付き短下肢装具(左 油圧制動継手、右 クレンザック)

 

プラスチック製短下肢装具の効果

●歩行速度が向上する

●歩行安定性が向上する

図4 各種プラスチック短下肢装具

 

短下肢装具を使用することでバランスや歩行速度が向上します。

種類が豊富であり、デザイン性にも優れています。適応は様々なので不具合や変更などの場合はお近くのリハビリテーション職種(医師、理学療法士、義肢装具士)にぜひ相談してください。

 

まとめ

下肢装具は早期から積極的な立位・歩行練習のために使用し、機能に合わせて変化させ、歩行速度やバランス能力を補助することができます。状態に合わせて調整や変更も可能です。

「下肢装具=頼るもの」ではなく「回復を支える道具」です。

気になることや合わないと感じた場合は、医師・理学療法士・義肢装具士に相談することをおすすめします。

 

参考文献・引用文献

1) 日本脳卒中学会脳卒中ガイドライン委員会(編).脳卒中治療ガイドライン 2021.協和企画,2021.

文責:藤枝平成記念病院 理学療法士 青島健人