装具って交換が必要なの?いつ交換するの?

〈キーワード〉>装具,破損,耐用年数
※本記事に掲載されている内容は,該当されない方もいるため参考程度にご覧ください。
脳卒中を発症された方に対して,装具という補助具を使用することがあります。装具により足の補助をすることで,歩きやすくなったり,足の変形などの予防になったりします。
装具はプラスチックや金属の支柱で構成されているため,消耗品です。破損したり,経年劣化したりする場合があります。では,どんな状態になったら装具を交換しないといけないのか,わかりますか?本記事では,装具の交換時期や,交換すべき装具の状態についてお伝えします。
本記事では,以下の内容について解説します。
・装具の構成部品
・装具の交換が必要な状態
・装具の耐用年数
あなたが使用している装具は大丈夫でしょうか?装具は,交換が必要な場合があります。この記事を読むことで,装具の交換が必要な状態についての知識を深めることができます。
装具は,種類により構成されるパーツが異なります。パーツが異なれば,必然的に破損の仕方や,破損する箇所が変わってきます。
装具ごとに,少し詳しく解説します。
両側金属支柱付き装具
装具の両側に,金属の支柱がついているタイプの装具です。長下肢装具と呼ばれる太ももの付け根まで覆われるタイプの装具と,短下肢装具と呼ばれる膝下までのタイプの装具があります。
両側金属支柱付き装具は,足や膝に軸があり,可動性です。軸には高機能なパーツが付属していることもあります。両側の金属支柱は足の裏で折り返し,つながっています。また,足に装着する際に,ベルクロというマジックテープを締めて貼り付けます。
プラスチック装具(シューホーンブレース)
プラスチック製の短下肢装具で,一般的に最も使用頻度の高い装具の一つです。
プラスチック短下肢装具は,熱をかけた1枚のプラスチックの板を足型に押し付けて作製します。つまり,装具自体は1枚のプラスチックでつながっている状態です。そこにベルトや足裏の滑り止めを接着して完成します。両側金属支柱付き装具と同様に,装着する際はベルクロで足に固定します。
場合によって足の関節に可動性の軸を取り付けることがあります。
装具の交換が必要な場合
装具は金属の摩耗やプラスチックの経年劣化を起こすため,基本的には消耗品です。半永久的に使用できるものではありません。装具ごとに,交換が必要な状態を紹介していきたいと思います。
両側金属支柱付き装具
両側金属支柱付き装具は,足や膝の関節軸の部分で破損することがあります。歩いていて異音がする,関節軸が適正に動かない,などは破損の可能性があります。また,めったにありませんが金属支柱自体が折れてしまうことがあります。そのまま使用するのは大変危険なので,かかりつけの医師や理学療法士,義肢装具士にご相談されることをお勧めします。
プラスチック装具
プラスチック装具の破損で多いのは,プラスチック本体の経年劣化です。プラスチックはたわむことで可動性を得ますが,たわむ際に一部分に負荷がかかることで,白色化するのが特徴です。そのまま使い続けると,軸の部分が折れてしまう可能性があるので,お気づきの際はお早めに医師や理学療法士,義肢装具士にご相談ください。
上記以外にも,ベルクロの貼りつきが悪くなった,足の底の滑り止めがはがれてしまった,などの状態が認められることがありますが,こちらに関しては修理対応が可能な場合があります。本ホームページの記事にもなっていますので,修理対応が必要な状態についての記事をご参照ください。
装具の耐用年数
装具には耐用年数が設定されています。どのような形態やサイズの装具であっても,一律で両側金属支柱付き装具が3年,プラスチック装具が1.5年とされています。この年数を超えている場合は,装具に何らかの破損が認められる可能性があります。使用者の体重が重かったり,使用頻度が高い場合は,耐用年数前でも破損している可能性がありますので,かかりつけの医師や理学療法士と一緒に,装具のチェックをしてみてはいかがでしょうか。
まとめ
本記事では,以下のことについてご紹介しました。
・装具の構成部品
・装具の交換が必要な場合
・装具の耐用年数
装具はある程度の年数が経過すると,交換が必要になることをご紹介しました。
装具は消耗品であることに加え,ご自身のお体の状態も年々変わっていきます。一定の期間毎に現在使用している装具を見直し,変化していくお体の状態にあった装具を検討してみてもよいのではないでしょうか。
文責:さいたま市民医療センター 佐藤博文