C-Braceで広がる歩行再建の可能性|臨床適応と試着の流れとは?
キーワード:コンピューター制御KAFO、歩行再建、適応
※本記事は、理学療法士の方を対象に記載したものです。参考程度にお読みください。
C-Braceとは
C-Braceは、コンピューター制御装具(Stance and Swing phase Control Orthosis)として開発された、従来のKAFOとは一線を画す長下肢装具です。複数のセンサーから全歩行周期中の状態をリアルタイムに解析し、立脚相の安定性を確保しながら、遊脚相での自然な膝屈曲を可能にします。
C-Braceはロック膝のKAFOではありません。イールディングと呼ばれる膝関節をコントロールする油圧抵抗を電子制御することで、立脚期には常に屈曲抵抗があり(デフォルトスタンス)、急な膝折れを防ぎます。この機構により、不整地を安定して歩行する、両足に体重をかけてゆっくり椅子に座る、といった従来のKAFOでは難しかった安全性と自由度を実現しています。立脚後期を自動検知して油圧抵抗を適切に下げる(スタンスリリース)ことで遊脚期の膝屈曲を実現します。
また、遊脚期中はStumble Recovery機能(つまずき回復機能)が働くことで、つまずきによる膝折れを防ぎ、転倒リスクを大幅に軽減します。
さらに、階段の降段(片脚ずつのステップダウン)や坂道の昇降にも対応しており、屋外環境での活動性を大きく向上させます。これらの機能により、C-Braceは「安全性」と「自由度」を両立した装具として高く評価されています。
C-Braceの適応(疾患・病態)
C-Braceは、立脚相の不安定性や膝折れを呈する患者に適応します。特に、脊髄損傷不全麻痺の患者において高い効果が期待されます。
・脊髄損傷(不全麻痺)
・ポリオ/PPS
・大腿神経麻痺
・多発性硬化症
・筋ジストロフィー
・その他の神経筋疾患
これらの疾患では、膝関節の制御が困難となり、歩行時の安全性が低下します。C-Braceは、こうした患者の歩行能力を補い、日常生活での活動性を高めることができます。
適応となる身体機能と分類
C-Braceの適応判断には、身体機能の評価が重要です。特に、股関節の伸展・屈曲のコントロール能力は、C-Braceの動作に直結するため重要な指標となります。
<主な評価ポイント>
・股関節の伸展・屈曲をコントロールできる
・自力で振り出しができる
・股、膝関節ROM:屈曲・伸展-10°以内
・体幹保持能力がある(座位自立)
・屋内歩行が可能
<患者分類(例)>
A群:立脚初期の膝屈曲なし→安全に使用可能
B群:立脚初期に膝屈曲あり→詳細な評価が必要
C群:振出し困難→前方への重心移動練習が必要
これらの分類により、PTは患者の歩行能力とC-Braceの効果を予測しやすくなります。
試着機DTO
DTO(Dynamic Test Orthosis)は、C-Braceの適応を最終判断するための試着機です。実際に歩行しながら、C-Braceの効果をその場で確認できるため、患者・PTともに効果を体験できます。
勉強会や患者評価のご依頼は、病院担当の義肢装具製作所かオットーボック・ジャパンまでご相談ください(お問合せ)。
理学療法での対応方法
C-Braceは、適切なトレーニングとリハビリによって最大限の効果を発揮します。
<PTが行うべき介入例>
・股関節伸展・外転筋の強化
・立位での重心移動
・立脚中の膝屈曲を制御する歩行練習
・歩行速度変化への対応練習
・階段降段の練習(片脚ずつのステップダウン)
適応ユーザーの累積数
C-Braceの導入数は世界的に増加しており、特に北米・欧州を中心に普及が進んでいます。これは、C-Braceが臨床現場で高い評価を受けている証拠でもあります。
世界では北米が最も多く、次いで欧州が続きます。一方、日本は全体の0.5%と少ないですが潜在的な適応患者が多いとも考えられます。国内での認知度向上と適応評価の普及が今後の課題のひとつではないでしょうか。
まとめ
C-Braceは、従来のKAFOでは得られなかった「安全性・自由度・歩行の自然さ」を実現する装具です。DTOの存在により、PTは患者に対して「まず試してみる」という選択肢を提供できます。
膝折れ、屋外歩行の不安、疲れやすさなどの課題がある患者がいれば、一度C-Braceを試着してみる価値は十分にあります。
文責:オットーボック・ジャパン株式会社 義肢装具士 和田真央



