この患者さんには装具は必要?一緒に考えてみませんか? -ブレースカンファレンスの進め方と運用方法-
Key word:ブレースカンファレンス/コンサルテーション/下肢装具
日々、臨床業務を行う中で脳卒中片麻痺の患者様を担当した際、装具の作製について悩んだことはありませんか?「この方に装具は必要だろうか?」「いつ頃から作ればいいんだろう…」「どんな装具が適しているのだろうか」「誰に相談すればいいだろう」こういった悩みを、経験の少ない若手や装具作製に携わったことのない理学療法士が、一人で抱え込んで解決するのはハードルが高く、心理的負担も大きいと思います。 また、相談が進まず気づけば装具療法に遅れをとってしまった…といったケースも稀ではありません。
私たちの病院では、そういった装具作製の意思決定に対するスタッフの悩みを解消し、みんなで解決すべく装具チームを設立し、日々ブレースカンファレンスを行っております。
今回はこのブレースカンファレンスをどう運営しているか、当院の活動をベースに紹介したいと思います。
※本記事は理学療法士向けに作成された記事です。全ての方に当てはまる訳ではありませんので、参考程度にお読みください。
【誰に相談すればいい?当院のチーム構成】
当院は急性期と回復期病床を有しております。理学療法士は31名在籍、うち装具チームスタッフは12名で構成されています。(内訳:急性期6名/回復期6名)
各年代のスタッフが若手からベテランまで気軽に相互的に相談できるよう、1〜5年目:4名、6-14年目:4名、15年目(役職者)〜:4名とチームスタッフの経験年数をまんべんなく配置しているのが特徴です。
【装具チームは何をしてくれるの?】
主に担当療法士への「装具作製の意思決定」を支援しています。冒頭にもありましたように多岐にわたる悩みをカンファレンスを通じて解決する支援を行っております。また、相談が進まず装具療法の機会を失ってしまわぬよう装具チームによるコンサルテーションを行っております。
コンサルテーションを導入する前と導入後では「ブレースカンファレンス実施件数」や「装具作製件数」の増加を認めております。
(装具チームによる担当者へのコンサルテーションが下肢装具の検討過程に与える影響 第24回日本神経理学療法学会学術大会 P68-6)
(BC:ブレースカンファレンス BRS:Brunnstrom Recovery Stage)
【コンサルテーションの方法は?】
➀まずは管理職による入院患者様の把握を行います。②同時に装具チームスタッフを中心にリハビリ室にて”備品用装具を使用している患者様”もしくは”ガイドラインに該当している患者様(膝伸展筋力もしくは股関節周囲筋の筋力低下、内反尖足、立位・歩行障害のある患者様)”1)2)をピックアップします。③装具チームスタッフより担当療法士へコンサルテーションを行い、基礎情報や目標・方向性を聴取します。④装具療法にベネフィットがあると判断した場合は⑤装具チームと共にブレースカンファレンスを実施、⑥理学療法評価、動作観察・分析、今後の展望などが記載されたカンファレンスシートを用いて確認、⑦作製の有無・作製時期・装具の種類を担当療法士と装具チーム、患者様で共同意思決定します。
装具チームによるコンサルテーション開始後は、開始前に比べ、中等度症例(Brunnstrom Recovery StageⅢ〜Ⅳ)のブレースカンファレンス実施件数が6件→14件へと増加しました。中等度症例の患者様は、重度麻痺に比べ装具処方がなくても立位や歩行を遂行することが可能であることが多く、装具による治療効果を検証する前にセラピスト個人の経験による判断が行われていたことが推察されます。装具チームによるコンサルテーションにより個人の経験や過小評価を防ぎ、客観的で適切な検討機会を創出できたと感じています。
【まとめ(明日からの臨床にむけて)】
もし装具の作製で悩んでいる場合は、一人で悩まずに、まずは先輩やチームに相談してみましょう。チームや他のスタッフと多角的に検討することが担当者自身の装具に対する不安の解消や患者様のこの先の生活支援に繋がると思います!
参考文献
1)日本脳卒中学会 脳卒中ガイドライン委員会(編). 脳卒中治療ガイドライン2021,第1版, 協和企画, 2021
2)一般社団法人 日本理学療法学会連合 理学療法標準化検討委員会ガイドライン部会(編). 理学療法ガイドライン,第2版, 医学書院, 2021
文責:医療法人 讃和会 友愛会病院 理学療法士 兼子 航太朗

